手をかける、手を出す
子育て
親御さんが子育てをしている時間を長いと感じるか、短いと感じるかは関わり方によって違ってくることがあります。
子どもを愛する気持ちはどの親御さんも同じなのですが、幼い時からどのように関わってきたかで自立の一歩を早くできる可能性はあるものです。
二人の母親を例にしてお話しします。
子育ては、どこまで手をかけたらよいか、またいつまで手を出すことが良いのか等を考えてみましょう。
子どもに関わる姿勢の違い
この二人の母親は年齢も近く、子どもさんも息子さんが高校生。
しかし、もちろん子育てに対しての考え方は大きく違っています。A子さんは、息子さんの上にお姉さんがいます。
一方、B子さんの高校生の息子さんは長男で、下に中学生の弟さんがいます。
二人とも仕事を持っており、家庭と仕事の両立をしっかりと図っている生活の中での子育て。
見えてくるのは、高校生の息子さんに対して人前でどのように接しているかという現実の場面です。
A子さんは、何でも語り掛けて常に一緒にお喋りをしています。たぶん家庭でもそうなのでしょう。B子さんは、必要な事以外はあまり話しかけません。それでも見守る姿勢は見えています。
息子さんも高校生くらいになると無口になる場合が多いのですが、これも人によるもの。
A子さんの息子さんは、実によく親御さんと会話をします。B子さんの息子さんは、頷く程度ですが、決して嫌がっているようにも感じられません。
さて、あることを同じように始める時に親御さんの関わり方の違いが顕著に現れました。
A子さんは、息子さんに付きっきりで指示をします。B子さんは、自分のことをやるだけで息子さんには関わりません。
さて、この違いをどのように考えますか?
どちらが正しいということではありません。子育てに対しての考え方の違いが表れていると受け取ってみて下さい。
子離れできない・・・
A子さんの話しでは、どうしても上の娘と比べてしまい手をかけることが多かった。それが未だに自分の中にあり、取り去ることができない。息子に対する不安を持ってしまうということです。
確かに子育ての中で、手をかけることはあるべき親の姿です。
しかし、親と言えど子どもから離れる時期を見誤らないようにしないといけないもの。
A子さんは、それが自然な自分の姿だと当然のように思い込み現在まできてしまったのです。
あまりに距離が近いことに気づいた他の人が教えてくれて、初めてハッとしたのでしょう。
気が付いたのですが、どうすればよいのか・・・それがわからない。
今までの行動を、すぐに変えることなどできるはずもないのですから!
そこで、こう提案しました。
少し離れたところで見ていましょう。親の指示語ではなく、彼がどのようにしたいかを言葉にいてもらいましょう。彼に任せることを伝えましょう。
自分が手をかけて育ててきた息子さんは、すでに自分の意思で行動できるのです。それに対して、手をだす必要はないのでは?
親御さんが手をかけてきたから、ここまで育ったのです。ここから先は、手をかけることから手を出すという行動になってしまうことを理解してほしいのです。
親御さんにすれば、まだ高校生!
でも、もう高校生です。
考えることや行動することの制限をかけているのは、親御さんの関わり方かもしれません。
子離れができないという親御さんは、A子さんのような関わり方を続けているのではないでしょうか。
子どもも一人の人である
さて、B子さんの場合です。彼女自身がとても自立心が旺盛であったことも子育てに関与しているかもしれないと感じることもります。
自分はこうだったから、息子も同じだろうと勝手に思い込み彼に押し付けたこともありました。
しかし、彼女は自分の子育てについて知人と話をしてアドバイスをいち早くもらったり、ご主人とよく話をして自分の関わり方を客観的に把握することにも努めました。
その結果、見守る姿勢を大切に伝えながら息子さんが困った時には話ができる状況を常に作ろうとしていたのです。
その結果、自分でできることを息子さんはちゃんと理解してきました。
親御さんとて、息子さんの気持ちが読めないこともあり、つい手を出したくなることも・・・。
自分でそう感じた時には、必ず誰かに話をしてみたそうです。そして、自分の行動にストップを!
息子さんは、親御さんが理解してくれることで安心して行動できるのでしょう。
口や手は出さずとも、理解し合える間柄になってきました。
息子さんを一人の人として認めたことです。
親の役目
この二人の母親の子育ては、自分の価値観と子どもが困らないようにと考えたことから色々な違いが見られるのです。
親として手をかけるのは、子育ての第一歩。
しかし、必要以上に手をだすということは自分の満足を満たすための行動。
子どもは成長して大人になります。そこまでの道は、親御さんと一緒の時もあれば、独り歩きをしなくてはいけない場面があります。
幼い時に、子どもさんが興味を示したことに対してどのような態度をとっていたか。
行動したい姿勢を引き留めてはいなかったか。
何でもお膳立てをしていなかったか。
子どもには、まずやらせてみることです。それを近くで見守ることをしていれば、危険な場合などは止めることができます。
行動力をを制限していると、先々も親御さんがいないと不安を感じるようになるのです。
不安を感じる子どもではなく、人格を持った一個人として子どもさんと関わるように心がけることが大切なこと。
親御さんが手を引かねばならない時を、試行錯誤しながらでも探さねばなりません。
親主導ではなく、子ども主導の行動を喜べる親でありたいものです。
少しでも早くそのことに気づくことが、親御さんの役目でもあるのですから。