学ぶ意欲は生きること
学ぶ意欲の表れ
定時制高校で学ぶ生徒さんたちは、年齢も生活環境も多種多様です。
中学校を卒業したばかり、一度高校生活を経験しているが途中でやめてしまった、今までに学ぶ時間がなくて学校へ行かれなかったという人も在籍しています。
改めて感じることは、高校で学ぶことを「今」欲している人たちがいるということです。
ここは、学ぶことを通して生きるということを真剣に考える場となっているのだ!と思えたことが以前に何回もありました。
全日制高校とは、少し趣が違いますが高校生ということでは違いがありません。
意欲が伝わる凄さ
その生徒さんは、とっくに高齢者と呼ばれる年齢になってから入学してきました。
高校入学前には、夜間中学校で学び、勉強の楽しさを知り定時制高校へ進みました。
人生の大半を家族と共に「生きること」に徹し、フッと気づくと自分の知らないことがイッパイ!
子育てや生活面が落ち着いた時、学校で学ぶことを意識したようです。
しかし、高齢者の生徒さんが毎日しっかり夜間に通学し勉強するということは、体力面でとても厳しいと捉えられます。
それを心配したのは、受け入れる高校側。
初めはハラハラしながら見守るしかなかったかもしれません。
しかし、そんな心配が吹き飛んだのは彼女のパワフルな姿勢と笑顔がいつもいつもあったから!
年下の(50歳以上も下!)の生徒たちの中にスッポリと入り、ある意味では先生以上に先生らしく彼らに接してくれることもありました。
ヤンチャ坊主であった生徒も彼女に一目置かざるを得ない状況でした。
それは、彼女の授業中の学ぶ姿が何より真剣であったことが誰の目から見ても明らかであったからでしょう。
さらに放課後の部活動では、書道、華道の他にも・・・
何と、顧問に乞われて野球部にも参加していたのです。
部活動は、自主的活動です。彼女の意思での参加となったことが、部員にも大きな影響を与えることとなりました。
野球部での彼女の役割の多くはピッチャーでもなく、キャッチャーでもない、ひたすら他の部員とともにグラウンドでボールを追いかけ、捕球し、投げる。
そして、気合を入れる!!
その姿は、他の部員へも伝わるものがあったと感じられます。 部員たちが、彼女に手取り足取りボールを扱うことを指導し始めたのです。 その行動は、人との関わりを自分たちでどうしたらよいかを考えたからなのでしょう。
顧問の狙いはここだったのだとわかる場面でした。
生きることは学ぶこと
彼女は、歳をとっているからこれはできないと自分で思ったり、できるわけがないと思われたくないと言います。
「楽しむ心」「学ぶ心」さえ持っていれば何でもできる。何にでもチャレンジできると考えていたのです。
80歳を過ぎて卒業した彼女が、他の生徒たちや先生方に与えた影響は本当に大きいと感じました。
学ぶことを大切に思い、実践する。これこそがその人の生き方を変えていくのです。
正に、学ぶ意欲は生きること!に繋がっているのです。
十人十色の生徒さんたちですが、それぞれが自分の学ぶ意欲を忘れずに高校時代を過ごします。
卒業の時の言葉を忘れられません。
「高校で、この学校で学べたことを本当に嬉しく思います!」
どこでも学ぶことはできます。
世界は広い!学校という場だけではありません。
自分の意欲を持ち続ければ、いつでも、どこでも学ぶことはできるのです。
彼女は卒業後、さらに自分の学びを色々なところに求めているとのこと。
現在は、泳ぐことを一生懸命に学んでいるようです。
きっと、これからも笑顔で日々を過ごすに違いありません。