誰もが大切な人であることを伝えるために
関わる人たち
学校では、多くの生徒さん、保護者、教員、地域の人たちと関わる日々。
先生として、誰一人としてどうでもよいと思う人はいないものです。しかし、関わりの多い少ないにより、相手をどの程度知っているのか(相手に対する認識)は、異なります。
人として、誰もが大切なのです!と、声高に叫んだとしてもそうは感じられない・・・と受け取られてしまうこともあるでしょう。
それはどのようなことから感じられてしまうのか・・・?
簡単なことなのですが、改めて自分自身と照らし合わせて考えてみてください。
大切なことを表現する
人は、誰もが認められ、大切に思われたい!と心の中で感じるものです。それによって、自分の存在を感じることができるからなのです。
自分はここに居ていいんだ!そう思う時なのです。
まず、あなた自身がどのようにされたらそう感じるのか・・・それを頭に描きながら紐解いていきましょう。
先生は忙しい!そう思っている人がきっと多いのではないでしょうか。相手を寄せ付けないオーラを出している先生も時には見受けられます。
それは、関わりを求めている生徒も察知してしまうこと。
そんな時は、結構あるもの・・・。
しかし、いつも、いつまでもその状態を持ち続けていると、相手には自分と関わることを拒否しているのではないかと感じさせてしまうのです。
あ~、先生は自分のことなど気にしてくれないんだ!!
先生は、自身のことだけをしていれば良いと思っているんだ!!などと生徒さんは考えもします。
それに気づいていますか?
仕事に集中しているといえば聞こえは良いのですが、その場その場での対応が大きく求められているのです。
例えば、職員室で机に向かっている時、生徒が声をかけてきたら無視する、嫌な顔を向けてしまうことなど有りませんか?
話したいことがあり意を決して先生に声をかけたが無視された・・・嫌な顔をされた・・・。
先生は話を聞いてくれるだろうと期待をもって訪ねてきたとしたら、それ以後この生徒は先生との関わりを減らしてしまうかもしれません。
これでは生徒との良好な関係性は築けない!
こんな時には、自分自身に一呼吸つかせます。声をかけられたら、まず手をあげて聞こえていることを示します。同時に大きく息を吐き、気持ちを整えます。
そして何事もないようにいつもの顔を生徒に向けて下さい。
その時の生徒のホッとする気持ち、わかるでしょう。
今は話す時間が無いのなら、いつ話をするかをその場で決めて下さい。
他の誰でもなく、あなたを頼ってきた生徒は、あなたを大切に思っているのです。その思いを受け止め、しっかり返すことが必要なのです。
その対応こそ、自分は大切にされていると生徒自身が感じることなのですから。
さらに、話しを聞く時には、どんなことであろうと耳を傾けます。否定したくなっても、生徒の思いを最後まで聞くことです。その後、上から目線ではなく、先生として関わるうえでの感じ方や意見を伝えることです。
生徒に迎合することではありません。一人の人間として、また先生として関わるうえで伝えておきたいことを適切な言葉で表現することです。
相手を尊重すること
そして、こんなことも心にとめておいて下さい。
生徒の名前をなるべく早く覚え、名前を呼ぶことです。当たり前だといえば、その通り。
これは私が学年主任をしていた時のことです。
クラス担任もないので、当初は授業で関わる生徒しか名前は頭に入りません。しかし立場上、学年7クラスの生徒全員を把握する必要があると考え、事あるごとに名前を呼ぶことを意識していました。
人とは面白いもので、特徴ある生徒はすぐに覚えられるのです。廊下で騒いでいれば「〇〇さん、もう少し静かに下さいね」など、必ず名前で呼ぶことを心掛けていました。何度も呼ぶので、早く覚えるのも当然かもしれません!
ある時、一人の保護者が来校した際にわざわざ私に会いにみえ、こう話して下さったのです。「先日息子がすごく嬉しそうな顔をして珍しく自分から話しをしてきたのです。学校で先生に階段ですれ違った時、自分の名前で呼んでくれて元気ですかと聞いてくれたんだ!何だかすごく嬉しくなったよ!と帰宅してすぐに話に来たのです。まさか先生が名前を覚えてくれているなんて思いもしなかったようです。本当に有難うございました」
その生徒は物静かで目立つ子ではありません。でも、その真面目さが前面に現れているステキな生徒でした。
では、なぜ保護者がそのような事を話しに来たと思いますか?
自分の子どものことをちゃんと把握しているという安心感と喜びが大きかったのだと感じます。つまり、学校として大切に生徒と関わっていると感じられたからなのです。
いたく当たり前のことです!そう言いはしたものの、私もとても嬉しくなりました。
私の気持ちも生徒に伝わっていたことを・・・。
生徒の気持ちにすれば、思いもかけない先生から名前で声をかけられたことに驚くとともに、自分の存在が認められていると思ったに違いないのです。
たったこれだけのことでも、伝わることはあるものなのです。
もちろん、保護者にしても子どもが喜んでいることは一緒に嬉しくなるものです。生徒のみならず、保護者をも大切にしなくては!と改めて考えさせられた一幕でした。
名前は、一人ひとりの存在を現しています。生徒を大切にしていくことは名前を大切にしていくことでもあります。
教員としてできることは様々あげられますが、主体となる生徒の存在を大切にすることを常に忘れないためにも一人ひとりを名前で呼ぶことは必要なのだと感じます。
そうすることで、生徒も先生を認めることが当たり前になり、お互いの関り自体を大切に思う気持ちが生まれるはずなのです。
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