先生の卵、奮闘中!
先生の卵として
彼は大学生。
最近、ボランティアで小学生の学習指導の手伝いを始めたそうです。
その小学生A男くんは、ニコニコと愛想がよくすぐに仲良くなりました。しかし、いざ勉強となると集中せず、すぐに遊びだす、寝転がるなどの状態になってしまいます。
彼は、ダメだと注意をするのですが上手く通じないのか、一向にやめません。でも彼と一緒にいることを嫌がる様子もないのです。
彼は、自分にこの子の指導は務まるのだろうか?と考え込んでしまいました。
事のあらましを聞いて、A男くんの気持ちや関わり方の工夫を彼と共に考えることにしました。
子どもは皆違うことを知る
A男くんは一人っ子。甘えん坊。でも、親御さんが共働きでありべったりと親のそばにいることもないようです。
普通の子どもさんだと思います。普通とは、大勢の子どもさんと同じなのだろうと受け取れることです。
特別にどうのということはありません。それは誰もが個性を持ち、自分のペースで生きていることですから・・・。
学習に対する興味はあまり感じられませんが、彼と一緒にいることを喜んでいるのはわかります。
そこで、やらせる学習から一緒にやる学習へと彼自身の意識を変えてみることにしました。
例えば、国語の教科書を読ませるのではなく、一行ずつ交互に読んでみる。するとA男くんは自分も先生と同じように上手く読めた!と自信を持つようになったのです。
算数の問題は、先生と競争。先生は5問解くのですが、A男くんは2問。どちらが早いかな?
もちろん先生なのですが、A男くんが先に解くことができたのならやる気も持てるでしょう。
このように、机に向かわせるためには誰かが自分に向いてくれていると理解させることから始めます。
これには根気が必要かもしれません。
さらに、できた時の喜びを共に感じさせることやご褒美も必要になることもあります。
とにかく彼には焦らず、A男くんの観察をすることを勧めました。
何故なら、子どもたちはそれぞれが違い、先生がこうしなさい!と言っても、意味がわからなかったり、何故そうするのかを疑問に感じる子どももいるからです。
子どもの様子は、その行動や表情に大きく表われます。それを見逃さないようにすることが大切なことなのです。
実践的な学びの必要性
彼は先生になるべく学んでいますが、実践的な学びをしているは幸いなことです。
最近では、支援を必要としている子どもさんも多く見られます。
それは特別なことではなく、一人ひとりを大切に育てるための配慮を怠らないことだけなのです。
無理に学習をさせるのではなく、無理なく学習をさせること!
そう意識づけてほしいと思います。
彼は自分でA男くんに関わる様々な取り組みを考え始めています。もちろん、すべてが成功するとは限りませんが、一つでも自分の中に経験として蓄積できれば実際の先生として学校で子どもたちと対する時には驚きや不安よりも、子どもたちと一緒に過ごせる時間を楽しむことができるでしょう。
大学への願い
このようなことを経験している先生の卵たちは多くいます。
それを考えても、できれば実際に学校現場に立っている先生方からの話しを聞く時間を設けたり実践例などを大学でも取り入れて下されば・・・と願う気持ちもあります。
教育実習だけがすべてではないこともわかっているはずですが、先取りして学校や子どもたちのことを知っておくことは、より大切なことなのだと感じます。
常に今を知ること。以前の例では事足りません。
彼をはじめ多くの学生たちが先生という職業を目指してくれることを嬉しく思います。
それを夢のままにしないためにも、彼らを指導する大学でもっと身近に先生を感じられるような時間を作ってほしいと願うばかりです。