母の声
母の思いは伝わるか?
今日、出会った親子の話しをします。
寒い朝の道、お母さんは赤ちゃんを抱え、そしてそばには幼い男児が一緒です。
昨夜の雨が道路に水たまりを残しているのですが、その水たまりに男児は興味津々!
その中に入ろうかな・・・入りたいな~!という声が聞こえそうなくらいにじっと眺めています。
その様子にいち早く気づいたお母さんは、こう声をかけます。
「なにしているの!ダメよ、水たまりに入っちゃ。濡れちゃうでしょう!早くこっちに来なさい!」
と、段々と口調が厳しくなってきます。
お母さんの気持ちが手に取るようにわかる・・・。
子どもの気持ちも同じようにわかる・・・。
男児は、いくらお母さんが声をかけてもいつまでも水たまりの前から動きません。
お母さんの顔をチラチラ見ながらも、自分の興味の先には水たまりしかないのです。
そこまで傍を通りながら見たのですが、どうしたかな・・・?
などと思いながらも、お母さんの声かけの方法はもっと工夫できないものか?そう思ってしまうのです。
決して、このお母さんが間違っているというわけではありません。
子どもを無理やりに、興味の対象から引き離さねばならない状況だったのでしょう。
先を急いでいたのかもしれません。抱っこしている赤ちゃんも寒いですからね。
状況を把握してみる
その様子を振り返りながら、こんな時にはどうしたら子どもさんが自分からそこを離れるかを考えてみます。
まずその状況は、男児が歩いている先に水が溜まっている。
このまま行けば、その水たまりの中に入る。水の中はどうなっているのかな?でも躊躇していたのは、その行動で大丈夫なのかを迷っていた。
お母さんが見つけて声をかけたことで、やめなくてはいけないことだとわかった。でも、やってみたいという気持ちが優先しそうになっている。
お母さんの声に反応ができない男児は、ますます興味が湧いてきたのかもしれません。
水たまりに入るとは、どのような感覚なのだろう?楽しいかな?などと頭で考えがグルグルしているのかもしれませんね。
さて、その状況の中でお母さんは先を急いでいるから、濡れてしまうから、冷たいだろうから・・・などと思い、やめさせようとしているのでしょう。
子どもは、やめなさい!とかダメ!と言われると、余計にやりたくなる・・・
こんな経験は、どなたにもあるでしょう。
つまり、無暗にやめなさいとか、ダメと言われても子どもさんには通じないのです。
その理由がわからない・・・。
では、今の状況でお母さんがかけてあげる声を探してみます。
もちろん、その目的は子どもさんが水たまりに入らず、サッサと歩いてくることです。
興味の共有をしてみる
「あっ!水溜まりだね。昨日の雨の残りかな?入りたいの?でも、濡れちゃうし冷たいと思うよ。お母さんも〇〇ちゃんに冷たい思いをさせたくないし、濡れたら余計に寒くなるでしょう。〇〇ちゃんが寒い思いをしたらお母さんは悲しくなるのよね。そしてお母さんは赤ちゃんを抱っこしているから、濡れても〇〇ちゃんの面倒は見られないよね。だから今は、お母さんとお話ししながら歩かない?」
こんな余裕はない!と言われそうですが、子どもの気持ちもわかっているということを伝えるべきです。
一時的に、興味の対象を移すことです。
お母さんとお話しをすることは、子どもさんにとってはかけがえのない大切な時間です。
歩いている時でも、気をつけることを話したり伝えることはできます。
子どもさんは、周りに色々なことを見つけます。その話しを聞く良い時間にしてみませんか?
お母さんとお話ししたことを子どもさんは覚えているものです。
もしかしたら、母の声は天使の声かもしれません。
自分にとって大切な人が話してくれたことは、子どもさんの成長過程に大きく影響することもあります。
小学生は、よくお母さんはこう言っていた!などと友達同士で話すそうです。
大人のおかれた状況で、子どもさんを怒らねばならない時はあるものですが、大人の勝手で子どもの興味関心を置き去りにしないことを忘れないようにして下さい。
水溜まり一つから次のことへ結びついていく可能性を秘めているのですから・・・。
親御さんも一緒に子どもの興味の対象を共有し、楽しんでみませんか!