鬱(うつ)が教えてくれること
診断から見られる2つのタイプ
現代では、様々な情報を自分で入手することができる世の中です。
例えば、自分の体調について不安になった時、まずネットを駆使して調べることもできます。
しかし、それで病気の罠にはまってしまうことがあったり、逆に大丈夫と間違った判断をしてしまうこともあるでしょう。
「鬱(うつ)」ではないか・・・?
自分以外の人の目には、自分の様子がどう映っているのかわからないもの。勝手な見方や判断から「鬱ではないか?」などと伝えられると、不安を覚えるものです。
その不安を払拭するために、病院へ行くことが選択肢の一つです。
当然、状況や症状から医者は判断して診断を下すのですが、それを聞いた本人がどのように受け取り感じるか。
実は、それには2つのタイプがあります。
1つは「うつ」と診断され、ホッとするタイプ。
そして「うつ」の診断に愕然とするタイプ。
受け取り方は様々です。これは「うつ」に限ったことではありませんが、この受け取り方でその先が変わってくる場合もあるのです。
気持ちの先走り
まず、前者についてです。
気持ちが落ち込み、何もする気にならない。仕事へ行きたくない。でも行かないと周りに迷惑がかかる。何を言われるかわからない・・・。行っても、その場が苦痛。こんな自分は居なくてもいいのではないかと思う。
こんなことは今までなかった。自分がおかしいと感じる。
彼女は、いたたまれず病院へ駆け込みました。
診断は、「抑うつ状態」。
彼女は、少しホッとしたのです。何故なら、今までにはなかった状態がうつ状態と呼ばれるものだとわかったから。
今までとは違う自分が今いるのだ!その正体がわかったとき、自分が悪いのではないことを知りホッとしたのです。
そして、後者についてです。
仕事が嫌だということが前提としてあり、頭から離れず、それによる二次思考がグルグルと頭を駆け回っている彼。
人との関わりも上手くできなくなり、抱えている仕事が捗らない。逃げ出したいと思うようになる。次第に眠れない日が続くようになってきたのです。
友人に話すと、「それは鬱だよ!病院に言った方がいいんじゃない」と言われ、愕然としたようです。
本当は、自分が「うつ」であることなど考えもせず、病院へいくことを躊躇っていたのですが、家族とも相談して行くことにしました。
診断は、「軽度のうつ状態」。
そんなことは無いはずだ!彼は、それを信じられずに別の病院へも行きました。
そこでは「抑うつ状態」にあると言われたそうです。
どちらにしろ、彼は思ってもいなかった診断名に驚き、どうしてよいのか益々不安を感じ始めたのです。
自分は鬱なのだ!そうだったのだ!そう感じた途端、負のイメージに入り込み自分でさらにうつの状態を作り始めた、そう言っても過言ではないでしょう。
「うつ」という言葉が自分にとっては、とても悪いものであり、ダメな人間としてのレッテルを貼られたと同じことだと思い込んだのです。
ここで考えてみて下さい。
日常で、うつのような気分になることはあるものです。
自分の思った通りに事が運ばなかったり、誰かに話しかけられても上手く返事ができなかった!
そんな時、落ち込んだりしませんか?
でも、人は思考の切り替えができるもの。いつまでも悔やんで先に進めないという事は、普段ではあまりないのです。
「うつ」のような気分になること・・・思い浮かぶでしょう。
「うつ」が人に伝えている事
情報の受け取り方により自分の感情が左右されることはあるものです。
診断されたことで安心感を得られたのは、自分が悪いのではという思い込みから解放されたからでしょう。
逆に益々不安感に囚われたのは、自分はそんな人間ではないという思い込みに雁字搦めにされており、今の自分の状況を理解しようとしないからなのでしょう。
まず、自分を理解することから始めてほしいのです。
今の状態がどのようなものなのかを知ることです。
医者やカウンセラーとの関わりを持つことで、適切な情報を得ることができ自分に合った対処法が見つかります。
そうすることで、先々を読むこともできます。
仕事を休むことは、決して悪いことではない。
「うつ」を抱える人が、決してダメな人間ではない。 唯一無二の自分を大切にすること。
必要とされる人であること。それは、自分は自分一人の身体ではないのだという事を感じてほしいから!
何も知らなければ、うつ症状は自分でもっと作り上げることになります。
何らかのストレスが引き起こす状態ですから、単純に考えればそのストレスを取り除けばよいのですが、先にも伝えたように、自分に見合った適切な対処法を得ることが大切です。
私たちが生活を営む場では、誰もがストレスは抱えがちであり、複数で同様の症状を呈することもあります。
他人事だと考えずに、労りあい、協力しながら仕事や日常生活を過ごしたいものです。
「うつ」・・・自分を大切にしなさい!というサインなのだと感じて下さい。