臨機応変を覚えよう!
~せねばと考えるのは・・・
子育てが始まる時、躾はしっかりとしなければいけないのだ!と親御さんは自分に言い聞かせる。
新入社員は、すべて上司の言う通りに動かねば仕事は覚えられない!と頷く。
胸を張り堂々と教員の仕事を始めた若者は、指導はこうあらねばと決めてかかる。
このように私たちは日常において、当たり前のように「~せねばいけない」という思考に取りつかれます。何かを始める時、それが最初の指針となったり、正しい道の始まりだと思うからです。
これが基本形であり、いち早く習得する必要があると考えるのです。
新しいことが始まる時の不安や緊張を打ち消すためにも、こんなことが浮かんでくるのかもしれません。
私たちにとって初めてのことに向かう時、頼りになる考え方となっているのです。そう信じ、それに従い歩き始めた時、案外スムーズに事は進み、やっぱりこれで良かったのだとホッとすることもあります。
しかし時が進み、頑なに守ってきた「~せねばいけない」という思考に振り回され、苦しくなってくることも・・・。
様々なことが目の前で移り変わり、それを当てはめることが難しくなると感じる時です。
例えば、子育ての場では育児書を読んで得た知識をそのまま活用してみると、上手く当てはまらないこともあると知るものです。すぐに、何でも自分でできる子どもにしなくては!と思うあまり、子どもの特性を無視して本に書かれている通りにすれば、その先は何でも自分でできる子どもになる!と思い込んでいる。
ところが、自分の子どもには上手く結果が見えない・・・。
新入社員は、上司の言う通りにしなくては仕事も早く覚えられないし、ましてや認めてもらえないと考え、言われたことのみを行うことに終始してしまう。
ところが、上司はどうやらそれだけでは満足していないような・・・。
若手の教員は、授業準備は必ず前日にパーフェクトに完成させねばいけないもの!と細部までしっかりと練り上げたいと思うのですが、体調不良でそう行かない時もある。すると、翌日の授業が不安で計画通りに進まなかったらどうしよう・・・という思いばかりに駆り立てられる。できない自分を責めることも・・・。
このように、それぞれで自分を縛るものがあり、その通りにするべきである!という強い思いがあります。根底には自分に対する不安を消し去るためという考え方が見えるのですが、いつまでもそこに留まっていることの弊害も感じられます。
基本形から進む先を見る
この「~せねばいけない」と思うことは、時と場合によって使い分ける必要があるものなのです。
あくまでも基本的には間違ってはいないのですが、基本は変形させても構わないということが前提としてあることを念頭においてほしいのです。
要するに、基本はできるが応用が利かないということになり兼ねないからなのです。
自分の生活に合わせたり、状況によって形を自分で変えていかないと考える範囲も狭くなり基本に縛られたままになってしまいます。
基本を中心として、私たちは経験を積みます。それは一人ひとりが違った経験であり、そこから自分独自の考え方や物事への対処法を構築します。
それが現実化した時に、自分なりの道が開けるのです。
いつまでも「~せねば・・・」と考えていると、気持ちにも余裕がなくなるでしょう。それが上手くいかない時には自分を責めたり、原因ばかりを探してしまう・・・。
まあ、こんなもんで良いかな・・・。
こんなのも有りだな!と思えたらそれが一番。
基本形を真ん中において、外への広がりを持ってみること。基本が常に正しいと思い込まずに自分なりに考え実行してみることです。その力を養うためにも基本は存在するものなのです。
臨機応変に考えるということ
皆さんは、この「~せねば・・・」という考え方を、いつまでも同じように感じているでしょうか・
経験をつみ、狭い範囲から広い世界を感じられるようになったのなら、「~せねば・・・」を緩めてあげることです。頑なに守ってきた基本を少し崩してみたり、状況をみながら楽に考えてみたりします。
誰かの考え方をそのまま受け取り、自分も同じようにしてみる・・・。この基本から自分のできる範囲でそれを利用してみましょう。
自分にはスッキリ当てはまらないのなら、解釈を変えてみるのです。
「~せねば・・・」という考え方は自分だけのためであり、相手のことは一切お構いなしなのです!自分が納得さえすればよいとか、自分が誉められればOK!などと思うだけで、その行動の目的やその先にいる人たちのことは見ていない。こうなることが当然だとの思い込むから始まっているのです。
育児書に書かれていることをそのまま我が子に伝えたとしても、上手くいく部分と全く反対の結果が現れることもあるもの。
会社の上司に言われるがままに仕事を進めていても、意図していることの解釈が違っていることもあるもの。
前日までに授業準備がパーフェクトにできていても、授業ではそれをこなすことで精一杯となり、生徒の理解度に柔軟に対応できないかもしれない。
つまり、この「~せねば・・・」は、常に上手くいくことだけを求めており、臨機応変な対応力は論外だということです。
だから苦しくもなり、辛くもなってくる・・・。
「~せねば・・・」を緩めるのは、決してサボったり休んだりしていることではありません。一つのことに対しても、色々な考え方があるということをまず知ったうえで受け取り、行動してみることなのです。
これが臨機応変!
正解は一つではないとか、結果に向かう道は様々あるということを忘れてはいけないのです。
何を目標にしているかを常に頭に描いていないと、「~せねば・・・」に縛り続けられることになります。
同じ流れは無くても、似たような流れは現れるものです。それに対して、今度はこんな角度から関わってみよう!などと楽しんでみることも大切です。
これが臨機応変な考え方。
仕方ない!まあいいか!次!!と、自分に声をかけるときもあってよいのです。
すべてが、決められたことのみで解決できるわけではありません。様々な角度から物事は捉え、その時の状況をしっかりと見定めて対応することで良いのです。ですから、人はそれぞれに対応の仕方が違うのです。
思考を少し緩めて、広い視野で考えていくと、今どのようにした方が良いのかが見えてくるでしょう。