区切りが見え、不安を覚えた時
不安感を覚える
ある先生はこう言います。
「卒業生を送り出したら、次はどうなるのだろう・・・」
これは、先生自身が一区切りをつけた先に新たな展望を描けない状態です。
また、ある先生はこう言います。
「退職が近いけれど、その先はどうしたらよいのだろう・・・」
これは、退職と言う人生の節目が近くなり、今までとは違う生活を描くことを少し怖がっているのだと感じられます。
このように、今まで仕事を精一杯に取り組んできた人たちは、その状況に身を置くことで安心感を持っていたといえるのです。
しかし、その場が無くなると思うと、心は次に自分を待っている世界を考えることを躊躇します。
それはどうしてなのでしょう?
今までの生活は、良いことばかりではなかったはずです。しかし、その中でも自分の立場がハッキリしており、与えられた仕事をこなすことだけを考えて過ごしてきたのでは・・・。
区切りの必要性
区切りとは、一旦ある状況が終わること。長い道のりにおいても、必ず休憩地点はあるものです。しかし、それを休憩地点とは考えずに給水するだけにして、また歩き始めると疲れも一層溜まってきます。
つまり、区切りとは仕事上でも人生においても必要なことなのです。
教員にとって、卒業生を送り出すことは数年間を共にした子どもたちとの別れとなります。
寂しいとか、ホッとするなど様々な感情が入り混じる中で、今までの数年間の自分を振り返る時でもあります。
すると、良い事も良くないこともすべてが良し!と感じるように感傷に浸ってしまう・・・。
その時、その先の自分の生活が見えなくなる。それが不安となるのです。
しかし、有り難いことに次の子どもたちが先生を待っているのです。
実は、現職教員の不安は一時のものだと感じられます。それは、次にも自分を待っている子どもたちがいるという安心感を思いだすからなのです。
この不安感は安心感によって打ち消されます。ここから先が見えてくるはずなのです。いや、見なくてはいけないのです。
不安感は、決して悪いものではありません。これを感じるのは一人だけではないからです。多くの先生方が一時の不安感を持ちます。
話しをすると、お互いの気持ちが似ていることを知るでしょう。是非、話しをしてみて下さい。
自分にできることを探す
さて、では退職が近くなってきた先生の不安感を打ち消すためにはどうすることが良いでしょう。
あくまでも、退職は区切りであって終わりではありません。
教員と言う仕事は終わるかもしれませんが、考え方によっては「先生」と呼ばれることがなくなることを寂しがっているとも感じられるのです。
人生は続いていく・・・
ここで教員としての仕事は終わったとしても、人生においては一区切りでしかありません。
先生としてではなく、一人の人としての生活をどのように過ごすかを考えると、今までとは違った生活を楽しむこともできることを知ります。
仕事をしたい!と思うのなら、先生もできるでしょう。
趣味に生きたいと思ったら、今までできなかったことを楽しんで行うこともできるでしょう。
さて、私事ですが退職後の生活をいつからどのように考えていたか・・・ということをお話しします。
管理職という立場になり、子どもたちと直接関わることが少なくなった数年間に考えて行動したことがあります。それは、校長室のドアを開けっぱなしにしておくことから始まりました。
お話しすることが好きであったこともあり、誰もが気軽に入れるようにしたかったのです。
廊下を通る人は、必ずと言ってよいくらいに校長室をチラッと見ます。
その時、目が合ったらしめたもの!!
私に時間がある時には、呼び止めて最近の子どもたちのことや先生の話しを聞くことにしたのです。
いつしか、子どもたちも話したいことがあると来室してくれるようになりました。
思い描いていたことが実現してきます。
そこでの自分にできることと言えば、話を聞くことが大半。それでも話をした子どもや先生方は笑顔になって戻っていきます。
これが自分にできること!と、退職後の生活にそれを入れて考えるようになったのです。
これが退職1年少し前のことでした。
退職することは自分の選んだ仕事を全うしたこと!そう思います。
しかし、それは人生の通過点でしかない。その先にも自分の人生はある!仕事もまだしたい。
それなら、好きなことを仕事にできないものか・・・。
それが今の道なのです。
決めた以上は、勉強です。
時間を見つけては学ぶことを続け、資格取得のためにも時間を使う。仕事が終わってからの時間をいかに有効に使うかを考え、周りにも迷惑のかからないように・・・。
学ぶことは一生であると常に心にありましたが、それが助けとなったことも間違いありません。
自分に与えられたものだと信じて次の道へ歩を進めました。
もちろん、不安を抱えていたことは言うまでもありませんが、それよりも誰かの役にたつために選んだ仕事だからこれで良いのだ!と自分に言い聞かせました。
他の誰でもない、自分で選んだ仕事ですから。
不安から未来を描く
教員という仕事は、区切りを目安として先の目標を描くことが大切です。
一年一年が年度の区切りとなり、子どもたちの入学から卒業までも一区切り。
さらに、クラス経営においても子どもたちとの生活の区切りがあります。
そして、自分の教員という仕事の区切り。
不安なくしては先へは進めないのです。
不安があるから、次を見据えて頑張ろう!と思うのです。
不安感を覚えたら、未来を明るく予想してみることです。
この先にこんなことをしてみたい!こんな風に子どもたちと関わりたい!など、今までのことを踏まえつつ考えることができるはずです。
そして、人生の一区切りの時を迎えるにあたっては、まず自分を労うこと。
不安よりも、よく頑張ってきたと自分を誉めながら次を考えれば良いのです。
未来は誰にもあるものです。
その未来の時間を自分で楽しく描くことを忘れてはいけません。
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